この記事の要点
- 仕事を辞めてもらえるお金は「失業手当」「再就職手当」「傷病手当金」など複数あり、退職理由によって該当するものが変わります
- 自己都合退職でも受給資格を満たせば失業手当は必ずもらえます。「自己都合だから何ももらえない」は誤解です
- 失業手当の額は「賃金日額 × 給付率 × 給付日数」で決まり、退職前6か月の給与が基準になります
- 「もらう」だけでなく、健康保険料・住民税・年金保険料の減免という「払わなくてよくなるお金」も実質的な給付です
仕事を辞めたい。でも収入が途切れる不安が頭から離れない。そんな悩みを抱えていませんか。退職後にいくら入ってくるのか分からないまま、決断を先延ばしにしている人は多いはずです。この記事では、退職理由別に受け取れるお金の種類と金額の目安、そして申請手順までをまとめて解説します。読み終わるころには「自分の場合いくらもらえそうか」が概算でき、安心して次の一歩を踏み出せるようになります。まだ辞めるか迷っている段階なら、30代で仕事に疲れて辞めたいと感じたときの対処もあわせて読んでみてください。

仕事を辞めたらもらえるお金には何がある?【一覧早見表】
仕事を辞めてもらえるお金は、大きく3種類に分かれます。ハローワークが管轄する「雇用保険からの給付(失業手当・再就職手当など)」、勤め先の健康保険から出る「傷病手当金」、そして自治体や年金機構による「税・社会保険料の減免」です。「もらう」形と「払わなくてよくなる」形の両方を押さえるのがポイントです。
もらえるお金は大きく3種類に分けられる
もらえるお金は「雇用保険給付」「健康保険給付」「税・社会保険料の減免」の3カテゴリに整理できます。この3つを区別しておくと、申請先や手続きの流れがすっきり見えてきます。
- 雇用保険給付:失業手当(基本手当)、再就職手当、教育訓練給付金など。窓口はハローワーク
- 健康保険給付:傷病手当金。病気やケガで働けない場合に、加入している健康保険から支給される
- 税・社会保険料の減免:国民健康保険料の軽減、国民年金保険料の免除、住民税の減免相談。市区町村や年金事務所が窓口
この3カテゴリのうち、多くの人が最初に思い浮かべるのが失業手当です。ただ、それ以外の制度を知らずに損をしているケースが少なくありません。とくに減免は「申請しないと受けられない」ものがほとんど。放っておいても自動では減りません。
退職理由別に受け取れるお金の早見表
受け取れるお金は、退職理由によって大きく変わります。会社都合退職は給付制限がなく給付日数も長め。病気退職なら傷病手当金の対象になる可能性があります。下の早見表で自分のケースを確認してください。
| 退職理由 | 失業手当 | 給付制限 | 傷病手当金 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 自己都合 | ○ | あり(原則2か月) | △(在職中の病気なら可) | 給付日数は短めの傾向 |
| 会社都合 | ○ | なし | △ | 給付日数が長く、受給開始も早い |
| 病気・ケガ | ○(働ける状態になってから) | 特定理由離職者なら短縮・なし | ○ | 傷病手当金と失業手当は同時受給不可 |
| 定年 | ○ | なし(本人希望の再就職なら例外) | △ | 給付日数は年齢と勤続で決まる |
表の通り、同じ「退職」でも理由が違えば受け取れる額もタイミングも変わります。とくに病気で辞める場合、失業手当と傷病手当金は同時にはもらえません。働ける状態かどうかで使い分けるのが基本です。
失業手当(基本手当)はいくら・いつから・何日もらえる?
失業手当は、退職前6か月の給与から計算した賃金日額に給付率(45〜80%)を掛けた額を受け取れます。受給開始は自己都合なら申請から約2〜3か月後、会社都合なら約1か月後が目安です。金額・時期・日数の3つを順に分解していきます。

失業手当の金額はどう計算する?(簡易シミュレーション)
失業手当の日額は「退職前6か月の給与総額 ÷ 180 = 賃金日額」を出し、そこに給付率を掛けて決まります。給付率は賃金が低い人ほど高く設定され、おおむね45〜80%の範囲です。手取りではなく額面(賞与を除く)が計算のもとになります。
具体例で見てみましょう。月給30万円の人なら、6か月の給与総額は180万円。これを180で割ると賃金日額は1万円です。給付率が仮に約50%なら日額は約5,000円。1か月(28日分)で約14万円が目安になります。月給20万円なら賃金日額は約6,667円で、給付率が高めに設定されるため日額は約4,000〜4,300円程度。給付率は賃金が低いほど手厚くなる仕組みです。
ただし日額には年齢区分ごとに上限額が設けられています。高収入だった人でも際限なくもらえるわけではありません。正確な額は離職票の給与額をもとにハローワークが算定します。あくまで上記は概算の目安として使ってください。
受給できる期間(給付日数)は年齢と勤続で決まる
給付日数は、離職理由・年齢・被保険者期間(雇用保険の加入年数)の組み合わせで90〜330日の範囲で決まります。自己都合は原則90〜150日、会社都合や特定理由離職者はこれより長くなるのが特徴です。
| 区分 | 被保険者期間 | 給付日数の目安 |
|---|---|---|
| 自己都合退職 | 10年未満 | 90日 |
| 自己都合退職 | 10年以上20年未満 | 120日 |
| 自己都合退職 | 20年以上 | 150日 |
| 会社都合退職 | 年齢・期間により変動 | 90〜330日 |
会社都合退職の給付日数は、年齢が高く勤続が長いほど手厚くなります。最長で330日。自己都合との差は、失業期間が長引いたときに大きく効いてきます。正確な日数は、離職票の離職理由コードと加入期間からハローワークが判定します。
いつからもらえる?給付制限期間の考え方
会社都合退職は、7日間の待期期間が終わればすぐ支給対象になります。自己都合退職は待期7日に加えて給付制限期間(2025年時点で原則2か月)を待つ必要があります。つまり実際の振り込みは、自己都合なら退職から2〜3か月ほど先になるのが一般的です。
流れとしては、ハローワークで求職申込をした日が起点。そこから待期7日、自己都合ならさらに給付制限2か月、その後の認定日ごとに失業状態が確認されて振り込まれます。最初の振り込みまで時間がかかるため、退職直後の生活費は別に用意しておくと安心です。給付制限期間の詳細は厚生労働省・ハローワークの案内で最新情報を確認してください。
自己都合退職でも本当にお金はもらえないの?
もらえます。自己都合退職でも受給資格(原則、離職前2年間に被保険者期間が通算12か月以上)を満たせば、失業手当は必ず受け取れます。かつてより給付制限期間も短くなっており、「自己都合だから何ももらえない」というのは誤解です。
自己都合でも受給できる条件と給付制限の短縮
自己都合退職で失業手当を受けるには、離職前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上あることが条件です。この期間さえ満たしていれば、退職理由が自己都合でも受給資格は認められます。
かつて自己都合の給付制限は3か月が原則でしたが、2025年時点では原則2か月に短縮されています。さらに、離職期間中に自ら教育訓練を受けた場合などには、給付制限が解除されるケースもあります。制度は緩和の方向で見直しが続いているため、最新の運用はハローワークで確認するのが確実です。「自己都合はもらえない」と思い込んで申請しないのが、いちばんもったいない選択です。
『特定理由離職者』に該当すれば会社都合並みの扱いになる
やむを得ない理由で辞めた場合、「特定理由離職者」と認められると、給付制限なし・給付日数の上乗せなど会社都合に近い扱いになります。自己都合の届け出でも、実態がやむを得ない事情なら該当する可能性があります。
該当し得る例としては、次のようなものがあります。
- 病気やケガで働き続けるのが難しくなった
- 家族の介護や看護が必要になった
- 結婚などにともなう転居で通勤が困難になった
- 職場のハラスメントが原因で退職に至った
- 契約更新を希望したのに更新されなかった(有期契約)
これらは自己申告だけでなく、状況を示す資料をハローワークに提出して判断されます。自分の退職が特定理由に当たるか迷ったら、離職票を持って窓口で相談してください。判定次第で受け取れる総額が大きく変わります。
失業手当以外にもらえるお金・負担が減るお金
失業手当以外にも、早期再就職で受け取る「再就職手当」、病気で辞めたときの「傷病手当金」、スキルアップに使える「教育訓練給付金」があります。さらに、国民健康保険料・住民税・年金保険料の減免という「支出を減らす」形の実質的な給付も見逃せません。
早く再就職すると『再就職手当』がもらえる
再就職手当は、失業手当の支給日数を一定以上残して安定した職に就いたとき、残日数の60〜70%が一時金としてまとめて支給される制度です。早く決まった人へのボーナスのような位置づけです。
おおまかな条件は、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること、待期期間を過ぎてからの就職であること、1年を超えて働く見込みがあることなどです。残日数が多いほど給付率も高くなる仕組みで、早く決まるほど得をします。「失業手当を最後までもらってから」と考えがちですが、早期再就職のほうが総額で有利になるケースもあります。
病気・ケガで辞めたなら『傷病手当金』の対象になることも
傷病手当金は、在職中の病気やケガで働けない期間について、給与の約3分の2を最長1年6か月受け取れる健康保険の制度です。連続して3日間休んだうえで4日目以降の休業に対して支給されます。
退職後も、退職日までに被保険者期間が継続して1年以上あるなど一定の条件を満たせば、受給を継続できる場合があります。ポイントは、失業手当が「働ける状態で仕事を探す人」への給付なのに対し、傷病手当金は「働けない人」への給付だという点。この2つは同時には受け取れません。まず療養に専念し、働ける状態になってから失業手当に切り替えるという順番が基本になります。
スキルアップに使える『教育訓練給付金』
教育訓練給付金は、厚生労働大臣が指定した講座を受講・修了すると、受講費用の20〜70%が支給される制度です。転職や再就職を見据えて資格取得やスキル習得を考える人に向いています。
給付率は講座の種類によって変わります。一般教育訓練は費用の20%程度、専門実践教育訓練はより高い給付率が設定され、条件を満たすと最大70%まで支給されるものもあります。対象講座や給付率の詳細は制度改正で変わることがあるため、受講前にハローワークの教育訓練給付の案内で確認してください。失業期間を「次のキャリアへの準備期間」に変える手段になります。
税金・社会保険料の減免で支出を抜本的に減らす
退職後は、国民健康保険料の軽減、国民年金保険料の免除・猶予、住民税の減免相談によって、毎月の固定費を大きく下げられます。これは「もらう」お金ではありませんが、「払わなくてよくなる」分だけ手元に残るお金が増える、実質的な給付です。
とくに会社都合退職や特定理由離職者は、国民健康保険料が軽減される制度の対象になることがあります。国民年金は所得が下がれば免除・猶予の申請が可能。住民税は前年の所得に対して課税されるため退職後もしばらく請求が続きますが、収入が激減した場合は自治体に減免を相談できます。いずれも自分から申請しないと適用されません。退職後は市区町村の窓口と年金事務所に早めに相談するのが鉄則です。
退職後にもらえるお金を申請する手順
失業手当は、ハローワークでの求職申込 → 受給資格決定 → 雇用保険説明会 → 認定日ごとの失業認定という流れで受け取ります。カギになるのは会社から受け取る「離職票」です。これがないと申請が始められません。退職前後にやるべき準備を時系列で押さえておきましょう。

退職前・退職後にやるべき準備と必要書類
退職前に会社へ離職票の発行を依頼しておくことがスタートラインです。退職後は、離職票・マイナンバー確認書類・本人確認書類・本人名義の通帳(またはキャッシュカード)・証明写真を用意すれば、ハローワークでの手続きに進めます。
離職票は退職後しばらくしてから郵送されるのが一般的です。届かない場合は会社に催促してください。円満に辞めておくと、こうした事務手続きもスムーズに進みます。退職の切り出し方や引き継ぎの進め方は、円満に退職するための仕事の辞め方の手順を参考にしてください。
ハローワークでの失業手当申請ステップ
ハローワークでの申請は、次の順番で進みます。各ステップの所要期間の目安もあわせて把握しておくと、いつお金が入るかの見通しが立ちます。
- 求職申込と離職票の提出:住所地を管轄するハローワークで求職の申込みをし、離職票などを提出します
- 受給資格の決定:離職理由や被保険者期間を確認し、受給資格と給付日数が決まります
- 雇用保険説明会への参加:受給資格決定後、指定された日に説明会に出席します
- 待期・給付制限:待期7日、自己都合ならさらに給付制限(原則2か月)を待ちます
- 認定日ごとの失業認定:原則4週間に1度の認定日に来所し、求職活動の実績を報告すると、認定された日数分が振り込まれます
この流れの中で、失業認定を受けるには一定の求職活動実績が必要です。求人への応募やハローワークでの相談などが実績としてカウントされます。認定日を1度でも無断で欠席すると支給が止まることがあるため、スケジュール管理は丁寧に行ってください。
よくある質問
アルバイトしながら失業手当はもらえますか?
短時間なら可能ですが、必ず申告が必要です。働いた日数や収入によっては、その分の失業手当が減額されたり支給が先送りになったりします。申告せずに働くと不正受給とみなされ、支給停止や返還を求められます。働いた場合は認定日に正直に申告してください。
退職金と失業手当は両方もらえますか?
両方もらえます。退職金は会社から支払われるお金、失業手当は雇用保険からの給付で、財源も制度もまったく別です。退職金を受け取っても失業手当の金額や受給資格には影響しません。安心して両方を受け取れます。
失業手当は課税されますか?確定申告は必要ですか?
失業手当は非課税です。所得税も住民税もかからず、確定申告に含める必要もありません。ただし、年の途中で退職して年末調整を受けていない場合は、給与分について確定申告をすると税金が戻るケースがあります。失業手当そのものは申告不要と覚えておいてください。
パートや契約社員でも失業手当はもらえますか?
もらえます。雇用形態ではなく、雇用保険に加入していたかと被保険者期間を満たすかで判断されます。週の所定労働時間などの条件を満たして雇用保険に入っていれば、パートでも契約社員でも受給対象です。加入状況は給与明細の雇用保険料の欄で確認できます。
持病があると受給に不利になりますか?
不利にはなりません。むしろ選択肢が広がる場合があります。病気で働けない期間は傷病手当金の対象になり、病気を理由に辞めたなら特定理由離職者として給付制限なしの扱いになる可能性があります。まず働ける状態かどうかで使う制度が変わるので、離職票を持ってハローワークで相談してください。
辞める前に転職先を決めた方がお得ですか?
ケースによります。転職先を決めてから辞めれば収入の空白がなく、失業手当を待つ必要もありません。一方で、失業手当を受けながらじっくり探し、早めに決まれば再就職手当も受け取れます。空白期間への不安が大きいなら先に決める、準備期間がほしいなら失業手当を活用する、と自分の状況で選ぶのが正解です。
まとめ:もらえるお金を把握して安心して次の一歩へ
退職後のお金は、制度を知って申請するかどうかで手元に残る額が大きく変わります。最後に要点を整理します。
- もらえるお金は「雇用保険給付」「健康保険給付」「税・社会保険料の減免」の3種類に分かれる
- 自己都合退職でも受給資格を満たせば失業手当は必ずもらえ、給付制限も原則2か月に短縮されている
- 失業手当の額は「賃金日額 × 給付率 × 給付日数」で決まり、退職前6か月の給与が基準になる
- 再就職手当・傷病手当金・教育訓練給付、そして税・社会保険料の減免も忘れず活用する
- 申請には会社から受け取る離職票が必須。退職前に発行を依頼しておく
お金の見通しが立てば、退職の決断も落ち着いて考えられます。まだ辞めるか迷っている段階なら転職するか辞めるか迷ったときの考え方を、辞めると決めたなら円満に退職するための仕事の辞め方の手順を読んで、次の一歩に進んでください。

